5Rsの製品づくり事例
服飾を製造する際には、約20%~30%の裁断屑が発生します。
日本では年間約15万トンもの裁断屑が端材として発生しています。
綿やウールなどの素材は焼却が可能ですが、
化学繊維は燃やすと有毒ガスや高熱を発生し、
炉を痛めるなどさまざまな問題が発生します。
当社では創業当時から裁断屑や端材のリサイクルに
取り組んできました。
端材は搬入されると細かくカットされます。
さらに改質剤・接着剤などを加え、圧力をかけシート状に加工します。
フェルトップマットの完成です。
フェルトップマットはダッシュサイレンサーなどの部品に使用されます。
自動車のバンパーを製造する工場では、
塗装不良などによる廃品が発生します。
これは従来焼却処分するしかありませんでした。
ポリプロピレン製のバンパーは強度や耐久性、
難燃性や遮音性に優れた素材です。この特性に着目し、
当社は再利用を開拓したのです。
工場に搬入されたバンパーはまず細かく粉砕されます。
そこに少量の改質剤を混合します。
次に押出成型機でシート状に加工します。
さらに表皮材を圧着します。
こうしてバンパーはPPシートへと生まれ変わります。
PPシートは一旦加熱し、次にコールドプレスで成形します。
この際、トリミングも同時に行います。
このような工程を経て、廃品だったバンパーは
ラッゲージドアトリム(上)やデッキサイドトリム(下)などの内装品へと
リサイクルされます。
自動車のインパネを製造する工場です。ここで発生する廃材は複合塩化ビニール材。焼却すれば大量の塩素ガスを発生します。酸性雨による森林破壊やダイオキシンの発生など、環境に悪影響を及ぼします。
この廃材のリサイクルは、まず塩化ビニールとそれ以外の部分を
分離分級する工程からスタートします。
この選別機は材料を撹拌し、摩擦熱によって膨張・分離させ、
比重差を利用してウレタン粉末と塩化ビニール材に選別します。
塩化ビニール材は炭酸カルシウムなどの充填材と
混合されます。
次にシート成形工程に進みます。
このシート成形機はカレンダー方式を採用し、生産性を高めています。
塩化ビニールシートの完成です。
塩化ビニールはさらに吸音材を張り合わせるなどの加工を加えます。
こうして塩化ビニール材はエンジンルームと乗車席を隔てるのに重要な役割を持つダッシュサイレンサーの表皮として生まれ変わるのです。
またダッシュサイレンサーの表皮には、石炭火力発電所から
発生する廃棄物、フライコールアッシュも利用しています。
石炭の燃えかすであるフライコールアッシュは充填材として使用されます。炭酸カルシウムに置き換えて混合しても要求される品質をクリアしています。
ウレタンシートの成形ラインから発生するウレタン廃材。
成形バリ屑や不良品などの廃材が発生します。
ウレタンはかさばる上に、焼却するにも問題がありました。
ウレタン廃材のリサイクルは、まず5mm~10mmの
大きさに廃材を粉砕することから始まります。
同じくシート成形ラインから発生したウレタン廃液を
接着剤として再利用し、ウレタンにブレンドします。
プレス成形したあと、乾燥させればフロアサイレンサーの完成です。
フロアサイレンサーはタイヤの接地面での騒音や
エンジン音の吸音材として使用されています。